GETTING STARTED
開発が初めての方が、環境づくりから公開・運用までを一通り通すための手順書です。
複数ページのサイト(会社サイト・サービスサイト)を作る前提で書いています。
2026年7月に開催した「AIサービス開発合宿」の参加者向けに作成した手順書です。合宿中および合宿後の持ち帰り開発で実際に使ったものを、そのまま公開しています。
現場で使うことを前提に書いているため、講師に相談できること・締切があることを織り込んだ記述が含まれます。研修の実際をご覧いただくための公開です。
OVERVIEW
コードは一行も書きません。書くのはClaude Codeです。あなたの仕事は、道具をつなぐことと、何を作るかを決めることの2つだけです。
この順番が肝心です。多くの人は「中身を作ってから公開する」と考えますが、逆にしてください。空っぽでいいので、先に公開までの道を通してしまう。そうすれば以降は「直したものが自動で公開される」状態で作業できます。順番を逆にすると、完成した最後の日に公開でつまずいて、誰にも見せられずに終わります。
1枚もののページで足りる場合。ランディングページだけ作りたいなら、STEP 4(サイトの地図)とSTEP 7(ページを増やす)は飛ばしてください。残りはそのまま使えます。
ENVIRONMENT
そろえるものは多くありません。ただ、どれが自分のパソコンの中にあって、どれがインターネットの向こう側にあるのかを最初に掴んでおくと、後で詰まったときに「どこを見ればいいか」が自分で分かるようになります。
この図から読み取ってほしいことが2つあります。
ひとつ目。Claude Codeはあなたのパソコンで動きますが、考えているのはクラウドのClaudeです。だから接続が切れると、ファイルは手元にあるのに何も進まなくなります。合宿や出先で「急に止まった」ときは、まず回線を疑ってください。
ふたつ目。金色の本線は、いったんつながれば自動で流れます。GitHubに送れば、あとはVercelが勝手に公開してくれる。人が毎回アップロードする作業は発生しません。逆に、Claude Designとのやりとりだけは自動化されていません。ここだけはあなたがコピーして運びます。手作業が残るのはここだけだ、と分かっていれば迷いません。
STEP 1
claude.com/claude-code からデスクトップ版をインストールし、ご自身のClaudeアカウントでログインします。これで、あなたの代わりにパソコンを操作してくれるAIが手に入ります。
プランは Max 5x を推奨します。無料枠やProプランでは、集中して作業すると1〜2時間で利用上限に達し、手が止まります。
ウェブサイトを作るには、Claude Code本体のほかに Node.js(サイトを組み立てる道具)と Git(変更履歴を記録する道具)が要ります。すでに入っている場合もあるので、自分で調べずに 本人に確認させてください。
なぜ自分で調べないのか。パソコンの状態は人によって違います。「入っていないもの」を正確に言い当てられるのは、あなたのパソコンの中を見られるClaude Code本人だけです。調べる仕事こそ、最初に任せるべき仕事です。
デスクトップなどに、サービス名のフォルダを1つ作ってください。以降の作業はすべてこの中で起きます。Claude Codeを起動するときは、必ずこのフォルダを開いた状態にします。
my-service)。日本語やスペースが入っていると、後の工程で原因の分かりにくいエラーが出ます。STEP 2
登録するサービスは2つです。役割が違います。
| サービス | 役割 | たとえるなら |
|---|---|---|
| GitHub | 作ったものを保管し、変更の履歴を残す | 倉庫と台帳 |
| Vercel | 保管されたものを、世界中から見えるURLで公開する | 公開係 |
github.com で無料アカウントを作ります。ユーザー名は後からURLに出ることがあるので、ふざけた名前にしないでください。
vercel.com で登録します。このとき、メールアドレスでの登録ではなく 「Continue with GitHub」を選んでください。
ここが分かれ道です。GitHubでサインアップしておくと、2つのサービスが最初からつながった状態になります。あとで「保管庫に入れたものが自動で公開される」仕組みが、設定なしで手に入る。別々に登録すると、この連携を手作業でやり直すことになります。
STEP 3 ── 最重要
中身はまだ作りません。「準備中」とだけ書いた1ページを、本当にインターネットに公開します。ここを最初に済ませるかどうかで、この先の難易度が変わります。
この工程が終わると、○○.vercel.app という形のURLが手に入ります。スマホで開いてみてください。自分のパソコンで作ったものが、世界中から見える状態になった瞬間です。
Astro は複数ページのサイトを作るのに向いた道具で、Tailwind CSS は見た目を整えるための書き方の作法です。どちらもClaude Codeが自動で入れるので、あなたが登録したり支払ったりするものは何もありません。作業中に「Tailwindを入れます」と言われても、そのまま進めてください。
なぜ最初に指定するのか。STEP 6でClaude Designが作ったデザインをClaude Codeに戻す往復があります。このとき両側の書き方が揃っていないと、統合が「翻訳作業」になり、原因の分かりにくい崩れが出ます。Tailwindに揃えておけば、この事故が起きません。土台は後から替えるのが最も高くつくので、ここで決めます。
一度、達成感を取っておいてください。この先は地味な作業が続きます。「公開できた」という手触りを先に持っているかどうかで、続く時間の心理的な負担がまったく違います。
STEP 4
ページを作り始める前に、どんなページが必要かを決めて、URLを確定させます。ここを飛ばすと、思いついた順にページが増え、あとで「このページ要らなかった」「URLを変えたらリンクが切れた」が必ず起きます。
「あったほうがいい」で判断すると、ページは無限に増えます。基準はひとつだけにしてください。
そのページが無いと、訪問者が次の行動に進めないか。
無くても進めるページは、作らない。会社案内の定番だから、という理由で足さない。ページが増えるほど、あとで全部を最新に保つ手間が増えます。維持できない量のページは、無いほうがましです。
ここが、1枚もののページとの決定的な違いです。サイトの中には性質の違う2種類のページが混ざっています。
STEP 5
ここが、多くの人が順番を間違えるところです。見た目から入らないでください。
体験の設計には、戦略 → 要件 → 構造 → 骨格 → 表層という5つの層があります。デザインは最後の「表層」です。中身が決まらないまま器から作ると、仮の文章に合わせた器ができあがり、本当の文章を入れた瞬間に崩れます。作り直しになる。
全ページ分の文章を一度に書こうとしないでください。トップページが決まれば、下層ページは「トップで言い切れなかった詳細」として自然に決まります。逆に、トップが曖昧なまま下層を書くと、全ページを書き直すことになります。
トップページに書くべきことは3つだけです。
各ページについて、「読んだ人に、次に何をしてほしいか」を1つだけ決めてください。問い合わせなのか、資料請求なのか、別のページを読んでもらうのか。
これが決まらないページは、そもそも無くていいページです。STEP 4の判断基準がここでもう一度効いてきます。
ここでAIに書かせきらないこと。一般論で埋めたきれいな文章は、誰の心にも残りません。あなたの実体験と、あなたが感じている違和感からしか、選ばれる理由は出てきません。AIの役割は書くことではなく、あなたから引き出すことです。
STEP 6
文章が固まってから、ようやく見た目に入ります。ここで大事なのは、ページの数だけデザインを作らないことです。
作るのは2種類だけ。トップページ用と、下層ページ用。下層ページはこの1つの型を全ページで使い回します。ページごとに違うデザインを作ると、直すたびに全ページを直すことになり、更新が止まります。
自分でデザインの指示を考える必要はありません。ここまでの内容を知っているClaude Codeに、依頼文そのものを書かせます。
出てきた依頼文を Claude Design に渡して、デザインを作らせます。必ず複数案を出して見比べてください。1案だけだと、良し悪しを判断する基準が自分の中にできません。
選んだ案をClaude Codeに渡し、STEP 3で公開したサイトに反映してもらいます。ここで初めて、器と中身が合流します。
このときヘッダー・ナビゲーション・フッターは、必ず「共通部品」として1か所にまとめてもらってください。各ページにコピーされていると、メニューを1つ足すだけで全ページを直すことになります。
STEP 7
型ができたので、あとは流し込むだけです。ただし最初の1ページは、自分で流れを見届けてください。2ページ目以降は同じことの繰り返しになります。
STEP 4で決めたページのうち1つを選び、下層の型に文章を入れて公開まで通します。ナビゲーションに載せるところまでやってください。ここまでが「1ページ増やす」の全工程です。
同じ手順を繰り返します。ここはClaude Codeにまとめて任せて構いません。ただし文章はSTEP 5で決めたものを使い、AIに新しく書かせないでください。
増えるページの追加を、実際に1回やっておきます。ここで「記事を1本足すのに何をすればいいか」が分かっていないと、公開後に更新が止まります。サイトが死ぬ原因の大半はこれです。
URLを打ち間違えた人に出る画面(404ページ)を作っておきます。放っておくと素っ気ない英語の画面が出ます。トップに戻る導線を1本置くだけで十分です。
STEP 8
複数ページのサイトなら、問い合わせフォームはほぼ必須です。そしてここが、初めての人が最も高い確率で事故を起こす場所です。
shadcn/ui について。入力欄・確認ダイアログといった「よくできた部品の詰め合わせ」です。1枚もののページには過剰ですが、フォームを作る段階からは入れる価値があります。これもClaude Codeが自動で入れるので、あなたが登録や支払いをするものではありません。
STEP 9
○○.vercel.app のままでも動きますが、事業として見せるなら独自ドメインを取ります。
| 取りたいもの | 取得先 | 理由 |
|---|---|---|
| .jp | 国内のレジストラ (お名前.com・ムームードメイン・Xserverドメイン等) | .jp は日本国内に住所がある人しか登録できず、海外のサービスでは扱っていない |
| .ai / .com など | Vercelで直接買うのが早い | 公開・DNS・メール設定がすべて同じ画面で完結し、ネームサーバーの切替と反映待ちが発生しない |
co.jp は選ばないでください。法人の登記確認が入るため、その日のうちには使えません。個人・法人どちらでも取れる汎用の ○○.jp にします。
公開は終わりではなく、始まりです。以降はこの3つの繰り返しになります。
この一巡を体で覚えることが、実質的なゴールです。ここまで来れば、あとは何を直すかを決めるだけになります。技術の問題は終わり、事業の問題だけが残る。その状態を作るのが、この手順書の目的です。
GLOSSARY
| 言葉 | 意味 |
|---|---|
| リポジトリ | GitHub上の、1つのサイト専用の保管場所 |
| コミット | 変更に名前をつけて履歴に記録すること。作業のセーブポイント |
| プッシュ | 手元の変更をGitHub(保管庫)へ送ること |
| デプロイ | 作ったものを、誰でも見られるURL付きの状態にすること |
| 共通部品 | ヘッダーやフッターなど、全ページで同じものを1か所で管理する仕組み |
| Astro | 複数ページのサイトを組み立てる道具。自動で入る |
| Tailwind CSS | 見た目を整えるための書き方の作法。自動で入る |
| shadcn/ui | 入力欄やダイアログなど、よくできた部品の詰め合わせ。フォームを作る段階で使う |
| DNS | ドメイン(サイトの住所)を、実際の置き場所に結びつける設定 |
| 環境変数 | パスワードやAPIキーを、コードに直接書かずに安全に持たせる仕組み |
FOR YOUR CLAUDE CODE
読んで進めるより、Claude Codeにこの手順を持たせて、案内役をやってもらうほうが速いです。下のファイルを渡せば、Claude Codeが順番を管理し、あなたが手を動かす場面で止まって指示を出してくれます。
配布ファイル:website-setup.md
作業フォルダに置いて、Claude Codeに 「website-setup.md を読んで、STEP 1から案内してください」 と伝えるだけです。